天日干した埼玉在来の八房インゲン(と云われている)。横田農場で種採りを続けて6年になります。
埼玉在来だからか、小川町でも作りやすい品種です。
元々は薄いピンク色をした種ですが、若干交雑が進んで薄い紫や茶色のものが出てきました。
インゲンは、遠くから虫が運んできた花粉や、風に乗ってきたわずかな花粉でも受粉して交雑してしまうので、とても種採りに手間のかかる野菜です。
種採りは、採った種の中から、理想の形質(味、見た目、香り、食感の良いもの=人間の五感に響いたもの)の種を選抜する事から始まります(選抜淘汰)。種を選抜することで淘汰を促し、また、その年々で種を残せるものだけを種採りする事になるので、段々と土地特有の土質や、気候変動への対応力が高まり、病気になりにくくなってゆくのです(自然淘汰)。これが時間のかかる作業。風土にあった種を作るのというのは大変なことです。
だからこそ、在来種はとても貴重なものなのです。土が痩せていても育ち、気候変動や病気に強く、そして何より味も香りも上品で力強い。
在来種は代々の日本人の豊かな感性を色濃く受け継いでいる宝のように思います。