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狐の松明 キツネノタイマツというキノコがトマトの畑に出現。 有機物の多い土壌に生えてくるキノコです。 畑に含まれる有機物を餌に、様々な菌が活動し、こうして運良くキノコの菌糸が発達すると、地上部に現れます。 畑には様々な菌が生息しています。植物や動物への病原菌や、土中のミネラルなどの栄養分を糧にして独立して生息するもの、植物や細菌同士、驚くべきは、人間とも共生関係を築くものなど、多岐にわたります。 菌類の法則のようなものがあって、菌類はある一定以上まとまって繁殖すると、その特性が顕著になります。例えば味噌などの調味料は、麹菌を培養することによって多くのアミノ酸やビタミン類を生み出すという効果を得ます。同じように菌糸が発達すればキノコに、病原菌が優勢になれば植物も人も病気になるわけです。 では、なぜ畑では土が味噌や納豆になったり、キノコ畑になったり、病気だらけにならないのか。それは、それら多種多用な菌類が一つ栄養を取り合ってせめぎ合うことで、特定の菌が発達しにくくなるためです。そうなることで、全体としてはバランスが取れ、安定した状況が作られているのです。 昨今、植物や人間の病気を予防するために、殺菌、抗菌処理をすることが当たり前になっています。 しかし、殺菌をしたとしても、必ず生き残る菌は生き残り、餌があればまた繁殖を繰り返します。そしてそのうちに薬剤耐性を身につけ、消毒するたびに薬剤耐性を持っていない菌を乗り越えて爆発的に繁殖するようになる訳です。ちょうど、味噌を作るために、麹菌一色に仕込むように、同じようなことが病原菌にも起こる訳です。 実は、こんなことが起こらないように、慣行農業の世界では、違う農薬を順繰りに使って薬剤耐性菌を作らないように注意します。また、人間に処方される抗生物質などは、必ず医師の判断があるまで飲み続けるよう指導されます。これらは、薬剤耐性菌を作らないようにするためです。 しかし問題なのは、家庭用消毒剤や洗剤による中途半端な消毒、農薬の誤った使い方で、家庭レベルで薬剤耐性菌が作られる可能性があることではないでしょうか。 滅菌をするなら徹底的にすべきなのに、そうではない。洗剤などをはじめ、全ての消毒効果を謳った製品のTVCMでは、消毒効果を示すために「イメージ」とついた顕微鏡写真が示されますが、必ず生き残った菌が描写されている筈です。メーカーが菌を全滅できないことを認めている訳です。ボトルを一本買えば、少なくとも一本使い切るまで同じものを使い続けるのですから、これは一番あってはならないパターンで、薬剤耐性菌をせっせと作るようなものです。だから、排水溝の臭いはいつまでたっても取れないし、清潔な筈のキッチンで食中毒が起こり、逆を言えば汚ったない居酒屋が何十年も続けられる訳です。 菌の量を汚さというなら、単純に人間の消化管である大腸は最上級に汚れていることになってしまいます。手の菌やまな板やスポンジの菌なぞ、体の外にある菌になんて構っていられないほどに。しかし体の中に住まう菌が、共生関係を築き、あろうことか免疫機能の大半を担っているというのです。 地球上の生命の歴史は、四十億年前から始まった異種生物との共生の歴史です。その共生関係を断ち切ろうとする行いはいかがなものだろう。 とはいうものの、人類は火を使うことにより、人獣共通の病原菌から身を守ったり、抗生物質の発明や、ジェンナーの天然痘ワクチンなど、恩恵を受けた事は否めないわけです。 この矛盾をどう考えたら良いのか、まだわからない。 しかし、自分の商品を売るために、都合の良いところだけつまみ食いして、消費者を脅しの罠にはめようと待ち構えているのが見え見えのCMを見るといちいち辟易します。 こんなことだから、世の中歪んで行くのではなかろうか。 こんなことを、キノコから考えてみたり・・・。

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