遺伝子組み換え食物の現状と私たちにできること

私たちの種

昨日は「バンダナ、シヴァいのちの種を抱きしめて」というドキュメンタリーの上映会と、岡本よりたかさんによる遺伝子組み換え作物の講演があり、参加してきました。

岡本よりたかさんの遺伝子組み換え作物の解説を通して、シヴァ氏の訴えについて考えてみます。

遺伝子組み換え(以下GM)作物は、そもそもバイオテクノロジー企業が世界の種子市場を独占するために商業利用したものであり、様々な問題が指摘されながらも日本に輸入され、殆どの一般家庭の食卓に供されている作物です。

■日本における遺伝子組み換え表示の仕組みと問題点
日本において、遺伝子組み換え表示義務のないもの
1.飼料にGM作物を使用した食用肉・卵・牛乳
生物にbt毒素が蓄積することが確認されており、生物濃縮された毒素を摂取している可能性があるが表示義務はない。
2.GM作物由来のDNAやたんぱく質が検出できない場合
3.原料上位4番目以降のもの
使用率に関係なく、4番目以降には表示する必要がない
4.使用量が5%以下のもの
トウモロコシや納豆などに混入していても5%以下なら表示する必要がない。
5.JAS法、食品衛生法で表示義務のないもの
味噌、醤油、油は表示の対象ではない。

GM作物の表示義務は抜け道だらけであり、「遺伝子組み換えを除く」と書かれているもの以外の原材料は、ほとんど当てはまります。いまでは、GM食品を食べないことのほうが少なくなっています。
■日本のGM作物輸入量
※参考:国産米800万トン
トウモロコシ 1400万トン(88%)
大豆 280万トン(94%)
菜種 200万トン(84%)
※カッコ内全輸入量の割合

■輸入されたGM作物はどこへ行くのか
輸入されたGM作物は、家畜の飼料として消費され食肉、牛乳、卵になり、食品工場で味噌や醤油、サラダ油、などの食品や食品添加物に加工されて、消費者の口に入ります。 また、家畜の排泄物や食品工場の廃棄物は、肥料として畑にまかれ、農産物としても口にすることになります。
しかし、前述のように食品表示からはどの段階でGM作物が使われているのかを知ることができません。
私たちは、何も知らされずにGM作物を直接、あるいは間接的に摂取していることになります。

■GM作物とは
GM作物は作物に農薬耐性や殺虫効果を持たせるために、人為的に遺伝子を操作してつくります。
現在のGM作物には主に2種類の遺伝子を組み込んだものが多く、
1.除草剤耐性(ラウンドアップ)
2.殺虫効果
を持たせてあります。
つまり、雑草は枯れて生産物は枯れずに残るように特定の農薬に耐性を持たせ、害虫忌避効果を高めるために、作物に毒素を生産させるよう遺伝子操作し、殺虫作用を作物持たせたものです。

■GM作物の作製プロセス
アグロバクテリウム(根頭癌腫病菌)は感染すると、遺伝子に潜り込んで一緒に背負った遺伝子を送り込みます。
その作用を利用して、ほしい効果を発揮する遺伝子、たとえば殺虫成分を生み出す遺伝子(昆虫病原菌の一種から取出したもの)を背負わせることで殺虫毒素を自ら生み出す作物を作ります。
しかし、この菌は遺伝子に潜り込む成功率が低いため、成功したものをピックアップするのに、この菌に抗生物質耐性遺伝子も背負わせます。そして、抗生物質に浸すことで、潜り込みに成功し抗生物質耐性を持った遺伝子のみを取り出すことが可能になります。
また、植物は遺伝子を取り込んでも、異変を察知して組み込まれた遺伝子を隠すように働きます(劣性遺伝)。これでは期待した効果をwられないので、カリフラワーモザイクウイルス由来の遺伝子を一緒に背負わせることで、対象の遺伝子の配列を変え、組み替えた遺伝子を強制的に表出させることをして、完成します。

■GM作物を人間が取り込むことによっておこる問題
1.殺虫成分を生産する遺伝子によって生産される殺虫毒素(bt毒素)が、人体に蓄積し、(恐らく)人間の細胞に悪影響をもたらしている。
2.抗生物質耐性遺伝子によって、抗生物質が効かなくなる危険性がある。(WHOは当該遺伝子の利用をやめるよう再三警告している)
3.カリフラワーモザイクウイルス由来の遺伝子が、人体の遺伝子の配列を乱し、放射線による細胞のがん化に似た現象が起きる可能性が指摘されている。

■GM作物の影響
1.GM作物由来の殺虫成分(bt毒素)が、妊婦の93%、胎児の80%の血中から検出【カナダ シェルブルック大学病院センター産婦人科による調査】
2.除草剤耐性のGM大豆をラットに食べさせたところ、生後3週間で55.6%が死亡し(非GM大豆で9%)、未熟児が多く、成長も遅かった。
3.GMトウモロコシを2年間与えたラットが、腎臓、膵臓障害、乳がんを呈し、オスの50%、メスの70%が早期死亡した。【フランス カーン大学 生物学者ジル・エリック・セラリーニ】 (この実験がきっかけでフランス政府はGM作物排斥に動き出している。)
4.3でラットに発現した病気は、日本人でも増加傾向にあり、その始まりはGM作物が市場に出回り始めた時期にピタリと一致する。
5.インドでは、バイオテクノロジー企業が種苗会社を買収した結果、種の一社独占状態となり、種の価格が80倍に跳ね上がった。それによって農家(特に綿花生産者)の自殺者が急増、95~2011年までに27万人に上った。 種苗会社による調査では2万人とされている。
6.インド綿の98%はGMであり、残留したbt毒素によって皮膚炎になる子供が多くなっている。
7.GM作物は知的所有権の関係上、種取を禁止されている。しかし、意図せずに通常作物にGM作物が混入し、知らずに栽培していたにもかかわらず、特許侵害訴訟を起こされるという事例が世界各地で起きている。世界的大企業相手では、勝訴する確率は極めて低く、泣き寝入りするしかないのが現状。
8.bt毒素に耐性を持ったスーパー害虫の発生や、除草剤に耐性を持ったスーパー雑草の出現。テクノロジーと不要因子(虫・雑草)とのイタチごっこが始まり、毒性を強めたり、有効遺伝子を変えるなどの手法により、問題が拡大することが懸念されている。
9.意図せずにGM作物のDNAが広がり、自然種との交配が懸念されている。
日本での事例
・GM作物が輸入される港湾周辺やその他の地域にGM菜種が自生していることが確認されている(生活クラブ調べ)
・沖縄でGMパパイヤが栽培されていたことを確認(農水省)

※ほかにもいろいろと見聞きしましたが、自分で調べたり、岡本さんの講演会に参加されるのがよいかと思います。また、聞きとれる範囲で書き取ったので、間違いがあるかもしれません。

□私見
この内容に対して、GM作物に、批判的になっても終わりのない議論の応酬になるし、世界的にも物議を醸している問題だけに肯定的にもなれないと思いました。つまりはグレーゾーンだということです。ただ、少しでも疑いがあるなら使用をすぐにやめるべきです。
GM作物をはじめ、農薬や化学肥料に関しても、同様の賛否の応酬になっていますが、最終的にどちらが支持されるのかは、「私たちが何を選ぶか。」にかかっていると思います。 なぜなら、私たちが選び取ったものが市場になり、企業が動き、国が動くからです。 フランス人は、GM作物を食べないことを選択し政府が排斥に乗り出しています。
バンダナシヴァ氏のドキュメンタリーでは、地域コミュニティーの大切さと種の自由に言及し、私たちの食糧事情がグローバル化していくことの危険性を説いていました。 つまりは、(私なりの解釈ですが…)地域の伝統的な風習、農業、食文化を大切に守ることが、ひいては自分たちの食の安全を担保する受け皿になるのではないかということです。 例えば、小川町(日本の伝統農業全般とも云える)の伝統的な農業といえば、自家採集が当たり前で、山の落ち葉や下草、芝山の草、畦草、家畜糞尿、近隣の人糞尿を肥料に使った地域循環型の農業でした、そこには、安全か危険かという議論を挟む余地はありません。
安全性について多くの問題が指摘されている農薬、化学肥料、GM作物は、現代の科学技術の産物であり、様々な健康被害をもたらして禁止されたものがたくさんあります。そのほとんどが、最初は製造者によって安全だと言われ、最終消費者の健康被害によって覆されてきました。 今安全だと言われているものも、10年後100年後には禁止されるかもしれないことを誰も否定できないのです。
今、江戸から昭和初期にかけて、小川町で栽培されていた種を調べているのですが、分かっただけでも90種類もの作物が栽培されていたことがわかってきました。しかし、現在まで残っている種は、今のところたったの10種類前後しか見つかっていません。そのほとんどが戦後現代的な農業に切り替わる過程で失われてしまったこともわかってきました。
現代の農業が頼っているバイオテクノロジーが禁止された時に何が残るのか、遅ければ遅いほど失うものが増えてしまうのではないかと感じています。

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